豚丼

吉野家がずいぶん減収になったということで、豚丼のセールをやっているという。ちょっと小腹がすいたので、さっき、行きにくい場所にあるにもかかわらず、わざわざ行ってみた。この手の店の豚丼ははじめてである。値段は250円。吉野家でこういうことを聞かれたことはなかったと思うのだが、ご一緒に卵やみそ汁はいかがですか、と全員に聞いている。減収になるとマニュアルも変わるのか。私は並盛りのみ。
たしかにさっぱりしている。けっしておいしいというほどのものでもないし、牛丼だってあのクズ肉のどこがおいしいのか、と言えばそれまでである。もともと私は牛肉よりも豚肉の方が好きなので、このさっぱりは嫌いではない。でも今までも牛丼、それもつゆだくだの何だの言ってた人には、がっくりくるような味なんだろうなあ、とも思った。これではなかなか吉野家も大変だろうとは思う。
ところで、はじめてWalkmanの音を聞いたのも、吉野家の牛丼を食べたのも、中学生の時なんだが、すごいいい音、感動!、こんなにおいしいものがあるのか、すごい!、と思ってしまったのはたしかである。慣れれば全然そんなことないのだが。ただ、この第一印象を出せる力というのは、単に化学調味料の使い加減がうまいとかいうだけのことかもしれないけれど、強烈なものなんだろうと思う。もちろん、最初からまずいと思う人もいるだろうけれど、なかなかいけるじゃん、と思う人も結構いたりするもんなんである。でもそうしたものが、グローバルな市場から供給されているがゆえに、このように食べられなくなるというのは、なかなか現代のグローバリゼーションの限界というか本質も示しているようでもあり、なかなか興味深い現象ではある。