ヴィッセル神戸の社長

昨日の夜、NPO/NGOのファンドレイジングのために開かれた「ぼたんの会」というパーティーに出席した。1万円で、半分がNPO/NGOへの寄付となる。気に入ったNGO/NPOから買えば、その5千円はその団体への寄付となる。主催しているのは、震災以来の深いつきあいがある多くの団体だが、初回である昨年は参加しなかった。そういうつきあいを全部してたら、お金がいくらあったって足りないからだ。時間だって仕事をひそかに抜け出して参加なんてのもあるわけだし。でも、ここのところ仕事ばかりで、「震災後」について深く考えることもなかったが、キーマン何人かと深く話し込み、ひさびさに湧き出るパワーを得た。それが北野ガーデンという神戸でも有数の高級な場で、シャンパンを飲みながらの会話。オペラ歌手が生で歌うアリアをバックに。こうした余裕って絶対に必要だよな。
行政を内部から変える教育について(予算の提案の仕方についてちょっとした工夫をする戦略が大いなる改革へとつながる話)、イラクの人質の自己責任論に対してもう一段階高いステージでの被災地からしか出ない説得力ある議論の必要性、震災10年にむけての芸術なり言葉なりで外部に伝わるメッセージを発するにはどうすべきか、震災10年で全てが終わり被災地の運動の基盤がなくなるといった時に真に必要とされる「市民社会」とは、内部矛盾と外部矛盾をごっちゃにせずに整理して議論し、市民自身を理論だてて批判しつつ成熟させていくことで成り立つ、等等。

もう一つ、今回必ず参加しようと思った理由は、楽天の社長である三木谷氏が出席することにある。仕事上も挨拶しておきたかった。彼のプレゼン、感動した。神戸出身の彼は、一度断ったサッカーチーム「ヴィッセル神戸」の経営を引き受け、この場にも来たのだが、中途半端は嫌い、と宣言し、スペイン最大の観光資源はベッカムもいるレアル・マドリッドだという事実を引き合いに、世界の神戸となりうるチームづくりを2〜3年かけて必ずする、と明言した。開幕には姫路出身のあややも連れてきて今までにない盛り上がりを演出するなど、できることは全てする。イルハン獲得は最もそれを象徴づけるものだが、それはごく一部に過ぎない。それがきっちり伝わった。クラブ経営や運営にベンチャーマインドを埋め込み、常識を覆すマーケティングをし、数としての結果を出す。まずはチーム強化の投資をしたが、その結果、プレーが感動を生み、動員アップがなされ売り上げもあがる。それを再投資する、そうしたプラスの循環をつくるべく、できることを全てやる。

スポーツ観戦が趣味ではない私で、特に球技は自分でプレーするのも苦手で嫌いなのだが、サッカーだけは小学生低学年の頃、ちょっとだけ習っていた(すぐやめたが)。その程度だから、サッカーを生で見るということも昨年まで一度もなかった。だが、仕事上のお客さまから誘われて、サッカー専用競技場であるウイングスタジアムでのヴィッセル戦をロイヤルボックス席から見る機会を昨年得た。これがなかなかいいのである。サッカー専用なので、非常に近くて見やすい。試合前には初心者向けフットサル教室もやっているという。カズの神戸新聞の連載もおもしろい。なので、興味があまりないが、もともといい印象は持っていた。

それが三木谷氏のプレゼン、そして選手のメッセージ(昨夜はカズ、カズの兄のヤス、松尾、藤本の各選手が来ていた)。ぼたんの会のためのチケット特別販売もあったが、パーティーの間中、社長は売り場前で営業、選手にもサインするよう指示。「仕事」というものを見させられた。私も、応援すべしと決意し、チケット購入。オフィシャルイヤーブックに社長がしたサインは、「チャレンジ 三木谷浩史」。チケット購入者は抽選で全選手のサイン入りグッズが当たり、かなり倍率は低いのに、それには外れてしまったが。。。翌日、早速当日の販売員からお礼のメールが届いていたのは言うまでもない。よっしゃ、やるゾ! 神戸への愛がさらに強まった夜であった。