命令されるのが嫌だから

同世代の友人が「命令されるのが嫌だから」と言って、年収1千万を軽く越える年収があるにもかかわらず、会社やめて独立、起業しました。「へぇ、じゃあぼくも1年以内に失業するから雇ってよ、いろいろ協力するし」と言ったんですが、命令されるのは嫌だから、当分一人で好きにやる、と言われてしまいました。
これって正解ですね。今日、ある起業支援の講演会で社長の対談を聞いたんですが、4人で平等に等分の出資して起業して自分が代表になったけど、累積赤字が解消されて黒字になった瞬間ケンカになって、自分が追い出されるハメになったって言ってました。その会社はその後も、人が流出していったと言います。代表なのに株51%以上持ってないなんて基本がダメとあとで叱られたそうですが、まあ人間なんてそんなものです。
「雇わない、雇われない生き方」って、独立して自分が社長になるだけじゃありません。ワーカーズコレクティブ(ワーコレ)というのがずっと前からあります。左翼というか生協運動とか労働組合とかでバリバリって人ならおなじみですよね。全員が出資し経営し労働するという協同組合方式です。けど、これって難しい。バブル崩壊して、リストラされたおっさんが東京で「りすとらん」って居酒屋やって、これもたしか組合方式で失業者ユニオンかなんかでやったんですが、ケンカしたりサービス内容がメチャクチャだったり、全然思い通りにならなかったというのはよく知られています。
時代は起業だってんで行政も支援に力入れてて、有限会社や株式会社が期間限定ながら最低資本金規制がなくなって1円起業ができたり、そうでなければNPO法人ってのもある、ってことで、誰もかれもが起業だ起業だの大騒ぎ。けど、ワーコレはちゃんとした法人格がないというか法的にちゃんと位置づけられてないんですよね。もともと、主婦中心の託児サービスとか弁当販売・配達とか生協の配達とかが多くて、低賃金のひどい状況なわけですが(でもすごく改善されてはきてますが)、制度がないってことがそれに拍車をかけてます。
日々、失業者に接していて、やはりワーコレがきちんとできる社会状況にならないと、雇用対策って成り立たないと思うんです。だってさ、失業状態から脱出できない人に会社つくれとかインディペンデントコントラクターになれとか言ったってほとんど無理だし、税金とか雇用保険でやってる無意味なパソコン講座を受けてるだけで、依頼心が強くなって、ますます独立心や向上心がなくなる。それだったら、主体的に関わらざるをえないワーコレで、地域に役立つことやった方がいいじゃないですか。低賃金でもさ。有機野菜の配達とか弁当づくりとか。ケンカもおこって大変だろうけどさ、仕事がある(というかワーコレって仕事創りだしね)だけでとってもありがたいことなんだし、そういうケンカをしていく過程で強い連帯意識がうまれることを目指すべきで、それが成熟した社会ってもんだと思うよ。そのへん、スウェーデン映画の『エヴァとステファンとすてきな家族』見るとよく分かるよ。成熟とは何か、ってことが。
ま、そういうことで、そういう制度づくりをしなきゃいけませんね。やっぱ私って政治向きなんかな? ベンチャー企業の特区つくって税制面優遇するなんてのもしなきゃいけないしさ。